がんゲノム医療とは
がんゲノム医療の効果
がんゲノム医療では、がん細胞の遺伝子を調べた結果をもとに、
最適な治療法を選択します
がんゲノム医療は、患者さんのがん細胞に起きている遺伝子の変化を調べて、患者さん一人ひとりの特徴に合わせた治療などを行う医療です。
日本では、2019年6月より、がん遺伝子パネル検査が保険適用され、保険診療のもとでがんゲノム医療が受けられるようになりました。がん遺伝子パネル検査は、がんの組織などについて複数の遺伝子を同時に調べて、遺伝子の変化が見つかった場合に、その遺伝子の変化に対して効果が期待できる薬剤や治験・臨床試験をデータベースなどで調べます。その遺伝子の変化に治療の効果があると考えられる薬剤の候補が見つかった場合、その薬剤の使用を検討します。厚生労働省の調査によると、2019年10月末時点で、がん遺伝子パネル検査を受けた患者さんのうち、同検査が治療に結びついた患者さんの割合は、10.9%(88/805)と報告されています。
-
がんの組織
-
遺伝子の解析
-
適切な治療法の検討
-
薬剤
-
治験・臨床試験
-
がんゲノム医療には、さまざまなメリットだけでなく、
デメリットもあります
がんゲノム医療では、がん細胞で起きている遺伝子の変化を調べます。調べた結果をもとに治療を行うため、より効果が高く、副作用が少ない治療法を選択できる可能性があります。しかし、現状ではがん遺伝子パネル検査の結果が治療に結びつく可能性は、10~20%程度と報告されています。例えば、遺伝子に変化が見つからない場合、薬剤を投与する基準に当てはまらない場合、治験・臨床試験の参加条件に合わない場合など、がんの治療に役立つ情報が得られない可能性もあります。
また、がん細胞で起きている遺伝子の変化を調べることにより、次の世代に受け継がれるかもしれない遺伝子の変化や、治療中のがんとは直接関係がない他の遺伝性の病気になりやすいかどうかなどが分かる可能性もあります。予防・治療ができる病気の場合は、定期的な検査などにより発症や重症化を防ぐことができることもあります。一方で、将来かかるかもしれない病気について知ることが心理的な負担になるかもしれません。
「がん」の治療に役立つ情報が
得られない可能性もあります
- 薬剤が国内未承認
の場合 - 薬剤を投与する基準に
あてはまらない場合 - 治験・臨床試験の
参加条件に合わない場合 - 遺伝子に変化が
見つからない場合 - 解析がうまくいかない場合
- 「がん」について
わかっていないことも
あります
-
- 父親の遺伝子
-
- 母親の遺伝子
受け継ぐことがある
- 「がん」を必ず発症するとは限らない
- 対処法がある場合がある